講演1 「宇宙を目指すことは地上を幸せにする」

東京理科大学 理工学部 電気電子情報工学科 教授  木村 真一 氏

講演2 「清水建設が考える宇宙ビジネスの可能性」

清水建設株式会社  フロンティア開発室  宇宙開発部長  金山 秀樹 氏

講演3 「大学生からみた、宇宙を学び投資する意義」

東京理科大学  理工学部 建築学科  宇宙の学び舎  Seed  創業メンバー


投資家と地球環境の将来
 数年前までは“気候変動以外にも重要なリスクはある”という声も少なくなかったが、相次ぐ台風に伴う水害や猛暑にみまわれ、今は責任ある投資家であれば“パリ協定の順守”を目指すのは当然といったコンセンサスができつつある。EUタクソノミの議論等によって、まるで世界中のすべての投資資産をそこへ向けようとしているような勢いだ。それ自体の成果はここの所目覚ましい。温暖化効果ガス排出量ネットゼロを目指し、少し前まではありえないような新事業、エナジートランジッションのための取り組み、イノベーションによる新製品や新サービスへの展開の背中を押している。

 しかし地球環境は年々、止めようもなく変化している。人類には過去にも、コロナウイルスに匹敵する感染症も、干ばつも、バッタの大群もあったかもしれないが、経済規模も人口も大きくなる中で、“地球環境が人類の生存に支障があるほど維持できなくなったら?”という対処は真剣に議論するべきだ。たとえば恒久的にではなくても一時的でもそれを回避する技術やインフラへのあくなき前進は必要だ。

 同様に、経済は永遠に成長しなければならないということは投資の前提であり、またこの地上をすべて消費しつつある我々には、新たなフロンティアが必要だ。30年前の社会と今の変化を思えば、本気で30年先の社会が発展しているために、必要な投資とは何かを改めて考えることは、広義の意味での責任ある投資家の役割かもしれない。

宇宙を目指すことは地上を幸せにする
 東京理科大学の木村教授は、スペースコロニー研究センターに所属している。ここでは宇宙の技術と地上の技術を一緒に開発するデュアル開発というスタンスを取っている。スペースコロニーセンターには同じ志をもつ企業のコンソーシアムが設置されている。宇宙で居住する技術は、火星に行くためだけではなく、多くの理由で地上でも役立つ。宇宙開発の為だけに収益企業が乗り出すことは(30年後であれば収益はなりたつのかもしれないが)ボラティリティが大きすぎ、いくら長期投資家でも今は吸収できないだろう。そこで地上でもっと短い期間で収益が得られるものと一緒に開発(技術投資)をしていくという方式を編み出している。

 木村教授は宇宙で暮らすテーマで必要な技術開発に取り組んでいるが、このコロナ禍であらゆる取り組みが地上でもいかに価値があるかを痛感し「もう少し早く取り組んでいれば・・・」とつぶやく。健康管理や長時間閉鎖された空間でヒトが快適に過ごすための技術、空調や、水と空気の再生の技術は確かに今すぐ必要だ。また将来の月面での居住に向けて検討していたインフレータブルモジュールという軽量ですぐに展開可能なテントは、コロナの検査設備を即席につくることに向いており、実際よく売れたという。

 宇宙での居住を目指した技術は地上であっても現在の人間を包んでいる環境が維持できなくなった時、すぐに必要となる。ではどんな技術かというと、先に挙げた空調、水や空気の再生のほか、放射能の影響を除去することなどがあげられる。また限られた空間から出ることができない状況での健康管理については、コロナ禍によるロックダウンがはじまった頃、ISSに滞在中の米国の宇宙飛行士が地上に向けて自分たちの現状も同じであると、メッセージを送り励ましたことが知られている。

機関投資家の率直な反応
 木村教授の説明に対し、投資家は様々な反応を示した。最初の問は、宇宙での技術が地上でも役に立つことはわかったが、ではどうして宇宙に行かなければならないのか、そこを投資家はどう考えるべきか、というものだ。

 木村教授は様々な考え方があり、地上の環境が破壊的な状態に陥り、住めなくなるというときにリスクヘッジのための開発という考え方がオーソドックスにある、しかし自分は宇宙に行きたいという人の本能で、最初はお金持ちが、そのうちコストが下がれば誰もが行きたいと思う、こちらのニーズが結構強いのではないかと答えた。

 これには少なからずとも衝撃を受けた投資家もあった。地球環境が維持できないかもしれない時に必要となるような宇宙技術を、短期的には観光業の収益に頼って行う?? しかし振り返ってみれば、すでに世の中には宇宙旅行を予約しているお金持ちもいて、その中には日本人もいる。火星に行こうということではない。無重力を経験する短時間の旅行だ。実はISSは上空500Kmという低軌道を回っている。通信に使われる静止軌道が36000Kmであることを考えると、高い飛行機といったところだ。しかしここまで上がると微重力という状態になり、事実上無重力の実験などができる。微重力では老化現象に似た症状が早く進むことがあり、多くの医薬メーカーがここでマウスなどを用いて実験を行っている。早く成果が見られるからだ。そのための実験室があり、企業がお金を払って利用している。滞在中の宇宙飛行士は依頼された実験を行う。足元には美しい地球がある。ここぐらいまで行ってみたい、と考える人のために、宇宙ホテルなどという事業に乗り出すベンチャーもある。

 もし宇宙開発が、月面の利権や開発、防衛・軍備より、観光のためにどんどん行われていったらそれは面白い。今数百万のクルーズ船が商売になっているのだから、500万円ぐらいでいけるようになれば、観光産業として成立するほどの利用者はでるだろう。そうすれば多くの人がISSぐらいの軌道からiPhoneで写真や動画をとり、ソーシャルメディアにアップする・・・ISSからみれば壁も国境もなく丸見えになり、なんだかそこには明るい未来がありそうな気がする。

すでに視界に入るサステナビリティの課題
 もちろん低軌道とはいえ各国の頭上を飛び交う領域にむけた開発には様々な課題がある。低軌道に漂う衛星たちや、そのゴミについては実は深刻で、事業の開発がどんどん広がる中でどんどんルールなどを定める必要がある。宇宙開発開発に乗り出す企業はベンチャーであってもそれらを守ってもらわなければならない。

 現在は日本では、宇宙開発ベンチャーを支える資金が事業会社による“コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)”に負うところが多い。資金調達も米国等に比べると二桁ぐらい小規模であるが、それよりその中身に特徴がある。(CVCの存在が大きいのは宇宙投資だけではないが) この事業会社がベンチャーを支えているというのはポジティブな見方もできる。その出資元は、自社の事業の一環として取り組むのだから、ただの資金提供ではない。将来に向けてその事業性や、リスクへの対処など、より深く取り組んでいる可能性がある。そしてこれらの事業会社は上場企業として株主がいる。企業全体のバランスシートから見たら今は少額の事業投資であっても、その将来性もリスクも非常に大きいかもしれない。今、機関投資家に企業のサステナビリティを考慮したエンゲージメントが求められているのであれば、これらの技術の重要性に対する知識もきっと役に立つだろう。この勉強会で得られた議論を広く共有していきたいと考えている。

​企業のチャレンジ
 第一回勉強会の二人目のスピーカーは、清水建設のフロンティア開発室宇宙開発部の金山氏だ。
1980年代後半、清水建設では、人が極限状態で生活する時、建設会社はそれをどうサポートできるかという観点で、研究を行われていた。深海や砂漠等、極限環境に人が行かなければならない時、建設会社として何ができるか、という研究をおこなってきており、その究極が宇宙だったそうだ。1987年から取り組み実際にその技術が活用されたこともある。1998年、7月7日の日にNASDA(以前の“宇宙開発事業団”。2003年に現在のJAXAに改組)が行なった2つの衛星によるランデブー・ドッキング実験「おりひめ」と「ひこぼし」で、搭載したロボットアームを地上から操作してトラス構造物の組立・解体を行う実験に参加したそうだ。建設会社としてはリモート操作の技術については、宇宙までいかなかったとしても活用の機会は多いだろう。その後も研究ということで宇宙のホテルを作るとしたらどんな設計になるのかとか、軌道上にソーラーパネルを並べる「ソーラーパワーサテライト」などの研究を行っている。どれくらいの規模のソーラーパネルを並べ、マイクロ波などで地上に送電すればどれくらいの消費電力を賄えるとか、そういった議論を積み重ねた。最近は米国主導の月面に人を送る“アルテミス計画”が立ち上がり、月面で建築物を作る場合、月面の資源を使ってコンクリートをつくるという議論も行っている。コンクリートは水を含むので、現地で水が採取できることが条件だが、それは放射能避けにも役立つだろうと期待されている。

 そんな清水建設がいよいよ事業化に乗り出したのは2017年。世の中では、民間企業がNASAから受注してロケットを打ち上げ、宇宙ベンチャーも資金調達をするようになってきた、そのような中で清水建設も事業化に向けた新たなステップを踏むことになった。

低軌道の小型衛星ビジネス
 2つの技術の進歩が、低軌道の小型衛星ビジネスを大きく変えたそうだ。ひとつは人工衛星の小型化、もうひとつは情報処理能力の向上だ。前者はそれまでと同じ予算を持っていれば、多くの衛星を配備できるような新しいやり方が考えられるようになり、後者ではそれらが収集したデータの処理がクラウドやディープラーニングといった技術の向上により短時間で行えるようになった。まず清水建設はキヤノン電子、IHIエアロスペース、日本政策投資銀行と共同で出資を行い「スペースワン」という会社を設立、和歌山に国内初の民間ロケット射場であるスペースポート紀伊の建設をはじめた。そして合成開口レーダーを小型衛星に搭載し、地上をレーダーで計測していく事業にも投資を行った。筆者も2年ほど前あるオルタナデータのカンファレンスで、衛星から地上を撮影しても雲によって使えるデータが撮れないこという話を聞いたが、普通の光学写真と異なり、レーダーであれば雲があっても夜中でも撮影が可能で、しかも詳細な記録が撮れる。そして今や数十センチ四方のサイズもあれば様々な測定ができる機器を載せることができる。(スマートフォンなどの技術を考えれば驚くことではないかもしれないが)これらをたくさん打ち上げることによって、地上の状態を詳細に撮影すれば3Dの地図などが作成でき、それはたとえば今後自動運転が進んで、トラックなどがたくさん走っている時、アクセルを踏んたりブレーキをかけたりといったタイミングをより正確に行うことに役立つだろう、と金山氏は述べた。

月面と地上の両方で使える建設技術は?
 金山氏は、月面での建設の仕事が、自分が現役の間にやってくるのではないかと感じ始めている。しかしそれにはまず建設資材を月に送らなければならない。清水建設では以前、福島第一原発で放射能を飛散させないようにカバーをかけるという工事を請け負ったそうだ。無人のクレーンを遠隔から操作して実施する。そこではボルトやナットを締めるという人手をかけて行う作業はできないので、はめ込み方式で組み立てる構造にしたそうだ。おそらく将来月面で建物を建設するのも遠隔操作になるだろう。これらの技術は共通しているという。

 一方、月面で遠隔操作を行うのは、技術は同じかもしれないが、今は環境が異っている。遠隔操作をするためには少なくとも月面に電波が届いている必要がある。遠隔操作でうごくクレーンや車両自体が指示を受けなければならないからだ。さらに今では地上では当たり前だが、自分がどこにいるかを把握する必要があるため、月の軌道上に“月版GPS”のような衛星を飛ばさないといけないだろう。打ち上げコストが安くなったといっても、月の軌道を回ってもらうために打ち上げるのは同じようにはいかないだろう。今はまだ1kgのものを月面に送るのに約1億円かかるという。そういったインフラをどうやって最初に投資して行けるか、これから様々な議論が行われるところだろう。

 そして月面に建設工具が届いたとして、それは果たして地球から操作できるのだろうか。地球と月の距離は38万キロで、光は1秒に30万キロしか進めないので、地球から送った信号は1秒以上かかる。また応答もそれだけずれる。2秒以上ずれると何が起きるかというと、ZOOMで会議をしている時、相手の話と自分の応答が重なるような感じだ。これは詳細な作業には致命傷だろう。もしヒトが地上にいるのであれば、作業は遠隔操作というより基本は自動で行い、それを監視するといったやり方になるのではないだろうか。

なぜ建設業は宇宙にいかなければならないか
 金山氏は、ゼネコンという様々な事業を扱う社内で、この宇宙の事業に向けた取り組みを説明していくのは「簡単ではなかった」という。企業経営からすれば、もっと足元に収益性の高い事業があり、人もリソースもそちらに割り当てたいかもしれない。それでもこれに取り組まなければならないと強く思っている。

 「少子化とか、労働者の減少とかがあって、今後は新しく建物を建てる市場って従来のようには増えないと言われています。そうすると今まで建設事業というコアのところで得られた売り上げや利益をどこかで新しく創っていかなければならない。その可能性の一つとして宇宙をやっていく必要があると思っています」と語る。「2年とか3年とかで何百億円とかは稼ぎ出せないと思いますが、2025年とか2030年とかには・・・」と金山氏は思って日々頑張っているそうだ。 

​宇宙産業に向かう大学生
 第一回目の勉強会の三人目のスピーカーは東京理科大学の学生Hさんだ。東京理科大学では、文科省から専用予算を受け「宇宙教育プログラム」という1年間の特別授業を行っている。東京理科大学の学生だけでなく、学外からも応募できる。異なるバックグラウンドの学生が集まり1年間共に学ぶ。講師は宇宙に関する様々なフィールドで活躍している学内外の人たちだ。Hさんはこのプログラムを受講し、受講後も翌年以降の受講生のサポートをしている。また宇宙に関わるサークル活動に参加し、その活動で宇宙建築賞というコンペティションにチャレンジしたこともある。火星居住施設と農場施設を合わせて設置し炭素循環を実現させるというものだが、そのようなアイディアはまさに地上で役立つように思う。

 そんなHさんが、投資家向けの勉強会で話をしようと思ったのは2つ大きな理由があった。ひとつは彼が今、建築学科に在学中でありながら子供に宇宙教育を行う“起業”をはじめるところであったこと、もうひとつはこれまで宇宙に関わってきて、30年後、50年後を考えた宇宙開発にどうして投資が難しいのかという想いを持っていたからだ。

木組みの研究
 Hくんは建築学科に所属し卒論のテーマとして木組みを選んだ。宇宙を学び起業をする一方で日本の神社仏閣を作る伝統的な技法について研究をしていると聞くと驚くかもしれない。しかし木組みというのは釘や金具を用いず、木の組み合わせだけで互いにかかる力をうまく制御しており、Hくんはそれが宇宙での建築にも役立つのではないかと考えている。たとえば月面で構造物をつくるためには、地球から運ぶのではなく宇宙で手にはいるもの(例えば月面の砂を使ったコンクリートなど)を用いる必要がある。そしてその資源の利用は持続可能な循環を考えなければならない。次に作業が安全である必要がある。そうすると「単一の材料で簡便に構造を組み上げることができ、しなやかでありながらも組み替えや解体が可能な構造を実現する木組みの技術は、3Dプリント技術との掛け合わせや他材料への応用により宇宙分野で欠かせない技術になる」と考えている。生まれた時にはモバイルが普及していたHくんの世代にとって、宇宙開発は身近になっている。特に気象衛星や測位衛星、観測衛星は、自分たちの生活を変えたもので、なくてはならないと理解している。

 「気象衛星は天気予報の精度だけでなく災害、洪水、台風の予想精度が上がり防災・減災の観点からも価値のある技術だと思います。また測位衛星については、我々日本人が頼っているGPSは、これがあることで成り立っている製品、 サービスなどビジネス的な価値を生み出しています。そして地球観測衛星による衛星画像を身近なアプリでも見られるようになり、他の国が何かしていないか監視できる様になって戦争などの抑止に貢献していると思います。今回のコロナウイルスが世の中を変えた時、衛星画像をAIと掛け合わせて解析を行った情報が公開され、人々の動きや状況を宇宙から広域的に観測できています。そしてまだ実現されていないのですが、閉鎖空間において持続可能な生活を維持することについて宇宙分野は様々な取り組みが行われています。たとえばISSでは微小重力であるため、自分が吐いた息が自分の周りに留まり窒息しないよう空気の循環の技術が優れています」と、Hさんは自身の年齢の倍ぐらいの年代の投資家に丁寧に説明した。

宇宙が地上の問題を解決する・・・宇宙投資の価値
 Hさんは投資家にもっと宇宙開発の価値を評価して欲しいと考えている。それは宇宙開発という一分野にとどまらず、地上で我々が抱えている様々な問題の解決に繋がると思うからだ。新たなリソースという面だけでなく、地上と異なる環境である為にできること、例えば重力がない中では、歩行に困難がある人もそれをディスアドバンテージとすることもなく活動できるだろう。多くの宇宙飛行士が同じことを指摘したように、国境のない宇宙空間から地球をみることで、気候変動をはじめとした環境問題、食料問題など個々の国だけで解決できない問題に対し、新たな解決策を探ることができるのではないかと考えている。

 また世の中が宇宙に投資することのリターンを議論していることに対し、Hくんは自分たちの将来にとって宇宙は必要だとシンプルに感じている。人がまだ知らない、開拓されていないところに向かっていくのは、人類が成長することに対する本能であり、必然だと思っているからだ。それに伴う科学技術の発展だけでなく無限の資源もある。そういう探究をやめてしまうことは、人間としての追求をやめてしまうことと同じように思える。

 ところがそのような無限の可能性に立ち塞がっているのが、スペースデブリ(宇宙ゴミ)だ。地球のまわりには過去に打ち上げた衛星や事故によって無数のゴミが漂っている。正確には漂っているのではなく、地球の自転にあわせピストルの10倍の速度で周回している。これらは、衛星の安全を脅かすだけでなく、下手をすると今後誰も安全に宇宙にでていけない環境にしてしまうかもしれない。次から次へと新しい衛星は打ち上げられ、ますます測位衛星がある前提で様々なサービスや事業が提供されているのに、今まだ明確な対応策も解決策もない。今や宇宙に関することは誰もが影響をうけ、将来に責任を負う時代であり、Hくんはもっと多くの事業や投資の意思決定をしている人に宇宙のことを知って欲しい、そして将来どうあるべきか一緒に取り組んで欲しいと考えている。卒論を抱えるなかでHくんが宇宙教育の起業を思い立ったのも、今は教育が最も重要と考えた為だ。

月は誰のものか?
 それまで聞いていた参加者の一人がこんなことを聞いた。「こんなことを考えながら聞いていました。月は誰のものでしょうか?」そして言い直した「あるいは誰のため・・・という言い方が良いのかもしれません。昔の話ですが、ある時世界中が累積債務に苦しみ、ある人が言ったんです。“南極は誰のものか?あそこには資源が山のようにある。それを担保にしたら、今地球上でおきている債務問題はほとんど解決する”と。月にもおそらく様々な資源がある、物理的な資源だけでなく知の探究においても、それをどうやって一緒に開拓し広げていくか、ということだと思うのですが、一方で地上での戦いを月にまで持っていくのか、 というような雰囲気もあります。さて月は、どういう形で我々人類が、関わっていくべきでしょうか?」

 実際今、月の利用等については法律面などを含む専門家が世界中から集い議論が行われている。月の利用を行う時代が迫る中、Hさんはどのような議論が行われていても、(各国ベースではなく)人類として、地球全体にとっての月の活用を考え、人類が進出し生存でき、活用できる環境として考えていって欲しいと述べた。それを通し、世界平和について考えたいし、そういう考え方を自分たちより次の世代に伝えていきたいそうだ。

 H君の世代が年金を受け取る年になるまで40年、或いは50年ある。半世紀あれば国境もかわるかもしれない。そのような中で本当の意味でのリターンのある投資とは何だろうか?その頃人類は平和に月を有効利用し、人類の経済圏を拡大できているだろうか。そのように考えたとき投資家はどのように投資判断を行うべきだろうか。